フランスの水・廃棄物処理の大手であるスエズグループは2023年7月5日、カナダの2社(バイオ炭など持続可能な未来のための解決策を提供するAirex Energyと林業を手掛けるGroupe Rémabec)と共同で、ケベック州のポール・カルティエにカナダ初の産業規模のバイオ炭生産工場を建設することを発表しました。2024年に工場の初期段階が完成予定で、初期生産能力は年間1万トンになる見込みです。2026年までにその3倍の年間生産能力を目指し、実現すれば、北米最大で世界有数の重要なバイオ炭工場となります。
これは、スエズグループとAirex Energyが2035年までに35万トンのバイオ炭生産を目指すパートナーシップから生まれた最初のプロジェクトです。3社による共同事業CARBONITYが所有するこの施設では、Airex Energyが開発した革新的な熱分解技術CarbonFXをスエズグループの専門知識によって活用し、Groupe Rémabecの林業で生じるバイオマス残渣から、環境品質が高く、炭素を豊富に含むバイオ炭を生産します。
このプロジェクトが実現したのは、ケベック州政府およびカナダ政府による資金援助のおかげでもあります。カナダ政府は、CARBONITYの同プロジェクト発足に対し、Canada Economic Development for Quebec Regions(仮訳:ケベック地域のためのカナダ経済開発)を通して、返済が必要な資金として300万カナダドルを提供しています。
同プロジェクトでは、年間で推定7万5000トンの炭素を隔離します。炭素隔離によって、バイオ炭生産は担保・認証されるカーボンクレジットを生み出し、それをFirst Climate(環境資産管理・炭素取引のパイオニア)が自主的炭素市場で販売する予定です。
First ClimateのCEOであるOlaf Bachertは「CARBONITYとのパートナーシップは、大規模な炭素貯留・回収プロジェクトの実施において、1つの重要なステップです。自主的炭素市場の参入者たちは、バイオ炭がパリ協定の目標を達成できる可能性を確認しています。First Climateは、革新的なポール・カルティエの産業プロジェクトを通して実現される炭素回収を、最高水準を満たした持続可能で透明性と付加価値のあるものにしていきます」と述べています。
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