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米ワシントン州天然資源局(DNR):バイオ炭による「炭素隔離」と「山火事予防」の二本立て戦略開始



Photo by Hubert Buratynski on Unsplash

ワシントン州天然資源局(DNR)は2023年8月、バイオ炭を製造して、「炭素隔離」と「大規模な山火事リスクの軽減」という二本立ての戦略を行うために、炭素除去サービスとバイオ炭の製造に特化した企業Myno Carbon Corporation(Myno)とパートナーシップを結んだことを発表しました。


病気の木々などが生い茂る場所を機械的に間伐するなどの「積極的な森林管理」の場合、多くの残材を放置することになり、そのままでは市場価値がほとんどありません。腐敗して二酸化炭素を放出するばかりか、外来種の誘引や山火事の燃料にもなり得て、燃えれば地域の大気質に影響が及ぶ可能性もあります。


Mynoは、DNRが管理する森林地帯のこうした木材くずを利用してバイオ炭を製造し、炭素の封じ込めと山火事予防に努めます。また、エネルギー会社のAvista Utilitiesとの提携で、ケトルフォールズ発電所内にMyno初の大規模炭素除去施設の設置が決まっており、このたびのパートナーシップにより、実現が具体化することになります。Avistaの基幹施設にMynoの設備を統合することで、バイオ炭と再生可能エネルギーを作り出すと同時に、同州で林業を生業とする地域のグリーン雇用の創出にもつながるとしています。


パートナーシップの同意書によれば、MynoとAvistaは2024年から毎年最大5,000トンのバイオ炭を製造し、炭素隔離の活動に利用するとしています。具体的には、DNRから農地を借りている生産者が、日常の土壌改良に自主的にバイオ炭を組み入れるなどの活動です。また、土壌改良剤としてのバイオ炭に関するコストと利益をモニタリングし記録する研究協力の確立にも取り組むとしています。


2026年には、ケトルフォールズ施設内での本格的なバイオ炭の製造開始が予定されています。持続可能な方法で調達した乾ききったバイオマス残留物183,000トンを処理し、年間40,000トンのバイオ炭の製造と18メガワットの再生可能なベースロード電源の提供を行うとしています。


「Mynoとのこの大胆で革新的なパートナーシップは、気候変動に対する回復力(レジリエンス)への我々のコミットメントの礎となる可能性を秘めています」と同州公有地コミッショナーのヒラリー・フランツは述べており、このパートナーシップが安定的な雇用創出、炭素隔離、森林回復につながるとし、「”Evergreen State(常緑の州)”と呼ばれるワシントン州が、いつまでも(ever)緑あふれる(green)ようにと願う人々にとってこれはウイン・ウインの取り組みです」と続けています。


<参照情報>


DNR Announces Innovative Climate Resilience Partnership with Myno Carbon


Myno Wins Bid to Build First Large-Scale Carbon Removal Facility

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