アイオワ州立大学は2022年4月22日、同大学のBioeconomy Instituteの研究チームがバイオ炭生産等により年間数千トンのCO2を隔離できる実証規模の熱分解装置の開発に協力し、XPRIZE Carbon Removal(CO2回収技術をテーマにしたコンペティション)の名誉ある中間賞を受賞したことを発表しました。
Bioeconomy Instituteの共同所長であるRobert Brown博士は、「この賞は、熱分解というプロセスを中心として炭素除去に取り組む研究チームのアプローチを認めています」と述べています。バイオマスが無酸素状態で加熱される熱分解によって、炭素を豊富に含むバイオ炭が生まれます。Brown博士と彼のチームは、バイオ炭が土壌内に炭素を貯留する効果的な手段であることを示してきました。
同チームは、米国最大の独立系種子会社Stine Seed Company社と、バイオマスガス化システムの設計を手掛けるFrontline Bioenergy社というアイオワ州を拠点とする2社と提携し、同州のレッドフィールド付近で実証規模の熱分解装置を建設しています(2022年4月22日現在)。この新しい熱分解装置は、年間1千トン以上に相当するCO2を回収・隔離することができる見込みです。この規模が、同チームの受賞につながりました。
同大学の科学者たちは、新しい熱分解装置を自家発熱させて、コスト効率と環境パフォーマンスを高める方法を開発中です。この「自家発熱型熱分解装置」は、少量の空気をリアクターに送ることによって、熱分解による生産物が部分的に酸化し、熱を放出する仕組みになっています。
Brown博士は「世界の温室効果ガス排出量を削減しようと果敢な努力をしてもなお、気候の大きな影響を避けるために必要な目標を大きく超えてしまうことでしょう。大気中からCO2を積極的に除去する解決策に目を向けなくてはなりません。熱分解装置は、そうした解決策の一つになると考えています」と述べています。
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